付き合うまでは競技。付き合ったら人生。-『アオのハコ』が変えようとしている、少年ジャンプ恋愛漫画のゴール-
『アオのハコ』最新話を読んで、
私は「作品」ではなく、「少年ジャンプ」に驚きました。
一番驚いたのは高校生カップルが恋愛の次の段階へ進んだことではないのです。
「週刊少年ジャンプが、そこまで描いた」という事実なのです。
青年誌なら珍しくありません。
現在では「だれでも抱けるキミが好き」「こういうのがいい」など、ヤングマガジンやヤングジャンプでは、恋愛のその先まで描く作品は、昔から普通にあります。
しかし少年ジャンプは違っていました。
私の知る限りではありますが、『きまぐれオレンジ☆ロード』『電影少女』『いちご100%』『ニセコイ』など、恋愛漫画は数多くありましたが、多くは「告白」や「キス」を一つのゴールとして物語を閉じてきました。
もちろん、お色気作品は昔から存在していました。それでも、恋人同士の恋愛の帰結として、その先を正面から描くことは長い間ほとんどなかった、そう言ってよいでしょう。
『アオのハコ』は、高校生カップルが恋愛の新たな段階へ進んだことを、私の知る限りでは、少年ジャンプとしては非常に珍しい形で描きました(他にあるかもしれませんが)。
もちろん例外的な作品はあるかもしれません。
それでも、「告白」や「キス」を一区切りとしてきた作品が多かったという印象は、今も変わりません。
制約があったからこそ、恋愛は面白かったのか
ここで一つの仮説を立ててみます。
「制約があったからこそ、少年漫画の恋愛は面白かったのではないか」
そう考えます。
付き合うまでは、ある意味で競技です。
ライバルがいて、
すれ違いがあり、
告白というゴールがある。
だから読者も応援できる。
「頑張れ」と物語に参加できる。
読者は応援団になれます。
付き合った瞬間から物語は人生になる
しかし、付き合った瞬間から物語は人生になります。
恋愛を維持する話には正解がありません。
進学、就職、遠距離、価値観の違い。
人生には無数の型があり、
恋愛漫画というより人生ドラマへ近づいていきます。
読者は応援団ではなく、観測者になります。
「人生を描く作品」は間違いなくおもしろいのですが、
それは少年漫画が長年得意としてきた物語とは少し違う、
そういう「違和感」があります。
制限があったからこそ生まれた面白さ
極端な話、「一線を越えない」という制限があるからこそ、
少年漫画誌における恋愛漫画は面白かったのです。
制限してたから物語が書きやすかったし、終わりやすかった。
だからこそ、私は今回の『アオのハコ』を興味深く見ています。
ジャンプは恋愛漫画のゴールを書き換えようとしているのか
これは単に
「表現が大胆になった」
「今の時代に合わせた」
という話ではないのです。
少年ジャンプが、「成長」を描く媒体から、
「恋愛を維持する人生」まで描こうとしているのか?
もしそうなら、それは恋愛漫画のゴールそのものを書き換える挑戦になる、私はそう考えています。
もちろん、読者によっては、恋愛漫画というより人生ドラマに見えるかもしれません。
読者の方々が納得できない幕引きもあるでしょう。
この挑戦は成功するのか
成功するのか。
それとも、「付き合うまで」という少年漫画が長年育ててきた物語の力を失ってしまうのか。
だからこそ、この作品の終わり方を見届けたい、とは思います。
付き合うまでは競技。
付き合ったら人生。
ショイコは、『アオのハコ』を応援しています。
ほな、また。
